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2017年6月23日 (金)

仮題:

A:全く、急転直下な事態になった。

B:だな。

A:目下の問題は、最後の挨拶くらいか。
  まぁ、そんな場面自体、作られるかどうかわからないけれどね。

B:お前、昨日までそんな事があればやらない。嫌だって言ってなかったか?

A:ああ、だけど、もしも機会があれば、言いたい事があることに気がついた。
  こういった場所では書いていても、まだ誰にも言っていないことがあった。

B:あ?どういうこった?

A:介護の本分だよ。利用者に、言わなくちゃならないことがある。

B:感謝の言葉ってヤツか?

A:いや、何かを受け取ったって事だよ。コレが介護の本質だと思ってる。

B:何を言い出すかと思ったら・・・
  どうせ辞めさせられるんだ。言う事なんか無いだろ。それにヘタにしゃべれば
  お前、どうせ恨み節が炸裂すんぞ?そんな事も予測出来なくなったのか?

A:どうしてかな。トラ窓から移動になるときに、後輩君たちに言ったセリフが
  思い出された。
  いや、この仕事が終わるって実感したら、いい年寄りとして、
  言ってもいいかな?って思ったら言葉が先に出て来た。
  そして、トラ窓のセリフが同調して思い起こされた。
  きっと、同種の感情から出て来た言葉なのだろうと思う。
  とすれば、それには意味があると思ったんだ。

B:ふ~ん。
  あ~、そういえば、トラ窓も辞めさせられたんだよな?二重派遣(違法)だとか
  言ってたっけ?全く、そんな契約状態を三年も続けるなよなって話だよな。
  伊藤忠と言えば、日本四大商社だろうにって話だよな。

A:今考えれば、伊藤忠のマネージャー3人のほとんどがメンヘラに掛かった窓際だった。
  適当だったんだろうな。組織の存在自体がさ。そもそもトヨタと契約を続けたいが為の
  部門創設だったんだろう。優秀なマネージャーが来たのは2年半後だった。

  あれ?そういえば、俺が辞めてから、後輩君がまたメンヘラマネージャーが
  来たみたいな事言ってたな。う~ん。

B:お~い。何の話をしてる?話を戻せ。

A:ああ、すまない。でな。
  その介護の本分を思い出したら、誰にも言ってなかったなって思い出したんだ。
  そういった言葉をあの職場は求めてる?いや、足りないんだって思い出した。
     トヨタの部長が忘年会で毎回言う"打ち上げ花火"みたいなもんだよ。

B:あ~またえらく上から目線だな。なに言ってんだ?

A:あそこには、ビジョンだけが無いんだよ。だから目の前の"よかろう"な事を
  ずっと手当たりしだいにやってる。だからいつまで経っても、余裕も自信も得られない。
  お年寄りの笑顔や感謝だけを燃料にしてる。結局、仕事の
  メンタル面での保証がないんだよ。だからおかしな方向に進んでも正せない。

B:何を言ってるのか分からないけど、つまりどういうこと?三行で言えよ?

A:ん~難題だ。
  えっと、

B:もう残り一行だぞ?いいのか?

A:そりゃないよ・・・

B:終わりだ。

A:あのなぁ、つまりな、
  仕事には意義があるはず、何かを得られるはずと思って働くんだけど、
  裏の側面(口には出さないが単なる収容所)って側面しか見えない。
  良くて、実家族の幸せのためにはこういった施設が必要ってことしか
  共通認識していない。
  けれど、この仕事のすばらしい点は、双方向のものなんだ。
  渡す年寄りと、受け取る若者、ソノ構図はすべての仕事に言えることだが、
  介護施設は少し違う。人生の終着駅でベンチに座ってるお年よりは
  いろいろな土産話を持っている。楽しい話、苦しい話、人生の教訓、そしてソレを
  語る姿、すべてがメッセージでソレが若者に手渡せたと実感できたとき
  老人は最終電車で旅立てるんだよ。

B:情景は浮かぶけど・・・えらくメルヘンチックだな。まぁコレくらいのほうが
  夢があるって言えば、あるか。
  でもさぁ、コレって上手く言えるのか?っていうか、お前が言う意味あるのか?

A:ああ、言う意味はある。そういう夢をもって仕事しようと思えば、絶対に
  あんな仕事にはならない。そうすれば絶対に良くなる。
  働く人も入居者も幸せになる。ソレが出来る人たちだって思う。
  事務方もソレが上手く言葉に出来ていないだけで、
  心はそういったものを持ってる。何かを探してる。夢への渇望はまだあり、
  閉じてはいないと思う。最後に謝辞として贈るにはふさわしいとは思わないか?

B:でもさぁ、お前、盛り上がってるとこ悪いんだけど、
  お前の、「何かを受け取る事が介護職の仕事」って言葉。
  上手く伝わるかな?
  あれ?それに大体、お前は何を受け取ったんだ?

A:まさにコレだよ。介護職ってなんだろう?ソノ答えを得たということだよ。
  自分は、だんだん年老いてきた。いろいろな荒波を渡ってきてね。
  で、今は、過去の栄光もかすむほどボロボロだよ。出来ていた事が出来なくなることが
  どんな事なのか、どんなにがんばっても自分のことが自分で出来ないことが
  どんな事なのかって、自分がなってみてよく分かった。そしてソレが回りに
  どんな目で見られているのか。ソノ心境もね。そして今、自分が余計な人間だって
  実感してきたとき、そこに意味を見出すとしたら、ソレは何なのか?
  なぜ、老人が過去の話を壊れたテープレコーダーの様に話すのか。
  会社員として責任ある仕事をこなしてきた人もたくさん居る。ソノ目で見たら
  若い子の勘違いがたくさん目に付くはずだ。しかし、なぜかそういったことを
  言うのは重鎮ではなく、姑だけだ。なぜ若者を褒めるのか?
  そこに答えがある。
  そこで、我々介護職は気がつかないといけない。
  人生ってのは何か、人が人と繋がっているという意味をね。

B:あ~また訳の分からん事を言い出したな。でも、まぁ、
  要は、お前も年寄りの気持ちが分かる年齢になった。で、
  介護施設の仕事の意味って、単に看護婦でも家政婦でも旅館の女将さんでも
  ホテルのコンセルジュでもなく、何かを受け取る事。ソレを日常で行い、
  従業員が自分の人生に生かすこと。ソレが年寄りの願い?そういうこと?

A:まぁ、大体そういうことだよ。ったく、お前だって三行で終わってないじゃないか。

B:なんか言ったか。
  で、質問に答えてないんだが?お前。

A:え?何?

B:「で、お前は何を受け取ったんだ?」って聞いたんだが?

A:ああ、つまり、"そういう意味"もあるんだって知った。では、ダメ?

B:ああ、ダメだな。個人個人から受け取ったものって何がある?
  他の人が受け取っているものって言う話でもいい。

A:何だか示唆的な言い回しだな。ちょっと・・・
  じゃ書くけど、主に後半、

  新人ちゃんが「どうして萩田さんはあんなに人の苦しい気持ちが分かるんだろう?」って
  言ってたよね。アレだよ。俺はここでそういった視点で
  お年寄りを見ている人間に始めて会った。

B:お前は人の気持ちが分からないアスペだけどな。

A:ああ、そうだともさ。もういいよ。きょうはここまでにするよ。

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