« 仮題: | トップページ | kadai »

2017年7月11日 (火)

仮題:

A:今日は、元妻に電話した。
  どうにも声が聞きたかった。それに、以前用意していた誕生日プレが残った
  ままだったからだ。

B:そうか。

A:しかし、けんもほろろだった。会えないの一点張りだった。

B:ん~。以前は、コーヒーとか食事とか、会えたのにな。

A:ああ、病院で知り合った夫婦と友人関係が深まってからなのか、
  姉妹と連絡を密にしてからなのか、言ってる事もおかしくなっていたからな。
  財産分与も全部俺がもって行ったとか、俺が毎年仕事を辞めて来ていたとか・・・

  たぶん、周りにはそう言うことで、自分が被害者として話を広め、
  大げさに言いつつ、言った自分も勘違いしつつあるのだろう。

B:または、そういっている手前、もう後戻りができなくなってきているのかもしれないな。

A:電話すると必ず、ソノ件を言うところをみると、言い続ける事で、
  そうであったかの様に話を持て行きたいのだろうとは思う。
  以前も彼女は小さなウソを良くついた。言い続ければ良いと思っている節があった。
  彼女は、やっぱりどうにも変わらないんだなって思ったよ。

B:「キミはどうにも変わらない。悲しいけれど」ってことか?

A:ああ、でもな。もう一つ変わらないなって思うことがあったよ。
  結局、俺は、鬱に飲み込まれていたらしい。彼女はいいアドバイスをくれた。
  電話を切ってから、少し落ち着いたよ。

B:そっか。

A:結局、彼女は俺を悪者にする事でこれからの自分を造っていくんだと思う。
  けど、やっぱり優しいなと思う。
  「会えないけど電話やメールはいいよ」って繰り返してた。
  俺は何だか彼女の優しさを勘違いしていたように思う。

B:ん?

A:何だか俺は、病気になってからの彼女が優しい話し方をしていたように思っていた。
  勝手に脳内変換していたみたいだ。
  だから、電話口できつい口調の彼女の声を聞いて、最初は違和感を覚えた。

B:うんうん。

A:けど、思い出してみると、病気になってからも彼女の物言いはいつもひどかった。でも、
  アレでも、いや、アノ口調は俺を想ってのものだったようだ。
  急性期を過ぎてからのソレは、そのようなものだったって思った。

B:まぁ、今回、結果的にお前に渇を入れてくれたのは事実だな。

A:いい子と一緒に居たんだな俺は。まぁ良くうそを付くのはダメだったけどな。

B:そりゃ致命的だろ。

A:一つ彼女のいい点を再確認できた事が少し嬉しい。

B:なに言ってんだか。お前、
  彼女の縁者の中では"金奪って病気の妻を捨てた悪者"って扱いだぞ?

A:俺も、彼女が実姉の夫と不倫して、家出常習で、酒乱で、守銭奴で、モラハラで、
  いつも人の陰口しか言わないひどい女だったって部分を忘れられない。
  人に言うか言わないかの違いだけだ。

B:なるほどね。膿みきっちゃった訳だな。一度は忘れる事が出来たのにな。

A:ああ、でも、彼女の悪いとこばかりしか見えなくなってたんだな。
  俺はリストラされ、彼女の病気再発、再就職先は経営が傾き、
  最悪が重なりすぎたんだな。
  離婚して3年経って、ようやく当時を振返れる。
  あの時の精一杯だよ。あれ以上の対応はムリだったよ。俺にはな。

B;ふむふむ。

A:離婚半年後、急性期を脱した彼女からのメッセージを受けとめられるほど、
  俺の心は復旧なんてしてなかった。今の状態がソノ証拠だ。
  あんな地獄を良く生きて潜り抜けたもんだと思う。

B:彼女だって大変だったろうに、

A:そりゃそうだろうな。でも、彼女の生活にはちゃんとレールを轢いておいた。
  今も、そのレールの上で彼女は生きてる。
  それに、壊れた俺じゃ、あの時、彼女の手を取っても、良いことは無かったとおもう。
  だから、コレでいいんだと思う。
  彼女は、俺を悪者にしなけりゃやってけなかったんだろ。
  自分で戻れない道を選んだんだ。仕方ない。

B:お前だって、友人には彼女の悪行をバラしただろ?

A:そうだな。俺も言わなきゃ苦しかった。心配してくれている人たちも
  こっちから話すのを待っていてくれたんだと思う。何も聞かれなかった。
  だから二年後だよ。話したのは。

  でもな、結局、俺の中の優先順位は、結婚している時と変わっていないよ。

B:都合のいい話だな。

A:ああ、そう思う。だから彼女のウソを覆そうとは本気では思っていない。
  無論、肯定はしない。いちいち訂正する。証拠も残ってるしね。

B:全く、お前も彼女も、結婚していた時の約束なんて忘れてないか?

A:「お互いを正す時は、・・・」ってやつか?

B:いやいや、違うだろ。「相手が悪いと思っても、コッチから謝る」だろ?

A:そうだったな。でもさ、離婚時のあいつは、コッチが一方的に謝る事ばかり
  強要してきた。もう、もたなかった。

B:だからさ、そうしないともたなかったのは相手もだろ?だからそういう
  ルールを決めたんじゃなかったのか?おまえ。

A:でもさ、何を俺は謝ればいい?カサンドラ症候群の件か?
  俺が良く転職をした件か?就職した先の会社が経営不振だった件か?
  過去の彼女の不貞を責めた件か?彼女のモラハラでストーブやエアコンのスイッチが
  触れられなくなっていたことを責めた件か?
  一度だって、ちゃんと俺は謝ってもらった事なんて無かったんだぞ。
  離婚半年後に、こちらから請求してやっと形だけ謝ってもらって、
  俺は・・・どんなに苦しめられたと思ってるんだ。
  なのになんでいつも俺からなんだ。謝るのはさ。
  ソレを言うと、彼女は黙っちまう。俺はどれだけ踏みにじられればいいんだよ。

B:だめだな。お前、ソレじゃお前の望む答えなんて永久に出てこないことは
  分かってんだろ。結婚生活で嫌というほど味わったじゃないか。
  彼女は謝れない人だって知ってたじゃないか。

A:でもさ、くやしいじゃないか。いつも大事に思ってた。どうする事が彼女にとって
  良いのかいつも考えてた。考えが足りない事はあったろさ。でも、
  離婚に至っても俺が苦しいだけだったら、その後の彼女の心配なんかせずに、
  医者に食って掛からずに、普通にリリースしたさ。お金だって全部引き上げたさ。
  離婚だって、統合失調症なら法的には一方的に進められる。
  だけど、俺は、彼女には何度もやり直す機会を与えた。
  でもことごとく跳ね返したのは彼女だ。

B:でも、そりゃ病気だからさぁ・・・

A:病気だってんなら、俺だって鬱だって診断はもらってたさ、でも、
  それじゃあの窮地で彼女を守れなかった。だから薬なんか飲まずに
  がんばってたんだよ。それで壊れきった。そこのどこが悪い。
  あの時、俺ががんばらなけりゃ、二人とも今は無かったんだぞ。

B:なるほどね。

A:誰も分かってくれない。誰も知らない。俺がどんなに窮地でがんばってたのか、
  彼女を守るためにどんなに考えてたのか、自分が原因かもしれないって、
  共依存だって気付いたときの恐怖なんて誰も分かってくれない。
  当時、話を聞いてくれたのは、東郷町の家族会の人だけだった。彼女の入院してた
  病院のケースワーカーには、家族会入会は「締め切り」だとか言われて
  入れてもらえなかったんだぞ?

B:そっかそっか。まだくすぶってんだな。お前の中ではさ。
  でも、彼女は、もうお前を悪者にして、過去の男にして、前を向いて進んでるぞ?

A:そうしなけりゃ彼女が前に進めないのも、
  そうすることが俺にとっても良いことだって分かってるよ。

B:でも?

A:でもさ。世の中の物語は、結局、苦難を乗り越えてハッピーエンドじゃないか。
  少しでも元気が戻ってくると、後悔だけじゃなく、何か道があるんじゃないかと
  考えちまう。何か報われる方法があるんじゃないかって、
  彼女も俺も救われる道で交差できるんじゃないかって思っちまう。

B:救われる方法はあると思うぞ?

A:あるかな。

B:お互い別の人生を生きるんだよ。
  どんな解釈でも良いから、まずは過去としてあきらめるんだよ。
  でなけりゃ、ムリだよ。幸せな人間になれば、受け入れられるかもしれない。
  お互いに傷つけあった時間をさ。事柄をさ。

A:結局、こうしてフェードアウトするしかないのかな。

B:ああ、だからだろ。電話は着信拒否にはまだなってない。
  お前もしてないだろ。

A:ああ。

B:お前は、本気でカウンセリング受けたほうが良いかもな。

A:近くにカウンセリングやってるような精神科のある大学なんて無いぞ?
  それに家族会も遠い。もう、"家族"でもないしな。

B:保健所だってあるだろ?

A:なんて話をするんだ?「妻を失いました。悲しいです」ってか?

B:じゃ、涙が枯れるまで泣けよ。海外の家族会の本に書いてあったろ?
  泣き足りないんだよ。叫び足りないんだよ。

A:どうして良いのか分からないよ。本当に、
  俺、こんな状態でバイクに乗って大丈夫かな?

B:やばいな。  

« 仮題: | トップページ | kadai »

フォト
無料ブログはココログ